梅雨明けの季節が近づくと、金見海岸に大群で産卵にやってくるオカヤドカリ。
個人でも行くことはできますが、より安全に楽しめるのがエコツアーガイドさんが案内してくれるナイトツアー。
単独では気づけなかったことや、分からないことをたくさん案内してくれます。
ツアー参加にはまず予約
ツアーに参加するには予約が必要です。時期は梅雨明けが近づく6月末くらいから7月いっぱいくらい。
その年により現れる時期が若干ずれるので、申し込みをする前に電話で必ず状況を確認してください。
ナイトツアーの料金は大人1人8,000円~。料金はガイド料、保険料、消費税も含まれた金額です。
オカヤドカリのナイトツアーの持ち物と集合場所
今回ナイトツアーが行われたのは7月中旬。夜の7時に金見公民館に集合になりました。このくらいの時期になると、夜7時でもあたりは明るいです。
案内をしてくれるのは、認定エコツアーガイドの元田浩三さん。金見で生まれ育ち、金見のことを知り尽くしているエコツアーガイドさんです。
持ち物の中で忘れてはいけないのが懐中電灯。明るいうちに集合していますが、ここからはあっという間に暗くなります。
海岸に出たら電灯はありませんし、足場はゴツゴツしているので危険です。懐中電灯は必ず持っていきましょう。
靴もなるべくならマリンシューズなど、岩場を歩いても滑らない靴がおすすめです。
金見オカヤドカリのナイトツアーに出発!
元田さんの先導でナイトツアーがスタートしました。金見の公民館の裏手から海岸へと降りていきます。
まずは、砂浜に生えている葉っぱの説明です。
これはアダンの赤ちゃんです。種が飛ばされて海岸で芽がでました。知識がなかったら通り過ぎてしまうようなことも、説明があるとさまざまな発見があります。
次は星の砂の探し方を教えてくださいました。手の平を浜辺に押し付けて、付いた砂を眺めてみると・・・。
あった!星の砂発見!!
たくさん見つけたくて星の砂探しに夢中になってしまいますが、先を急ぎます。
海岸にポコポコと開く穴はカニの巣です。
この穴の前で待っているとカニに会えることもあるようですが、今日は日が暮れてしまいそうなので我慢です。
暗くなるとオカヤドカリの活動が活発に
だんだん日が暮れてきて、周辺が薄暗くなってきました。
オカヤドカリが産卵にやってくるのは、写真の奥に見える金見展望台のふもとです。真っ暗になる前に灯台の近くまで移動します。
進んでいくと砂浜にキャタピラのような跡が付いています。これがオカヤドカリの足跡です。
くっきりと残っているのでまだ近くにいるはず!と近くを探してみると、いました!!
大きいオカヤドカリ発見です!
だいたい8cmぐらいの大きさがありました。歩いているだけでもカサカサと音が聞こえてきます。
オカヤドカリは1年に1回脱皮をしながら成長していくので、結構年配のオカヤドカリなのでしょうか。
オカヤドカリの産卵を観察
灯台のふもとにやってくると、急にオカヤドカリの数が多くなってきました。金見の海岸は広いのですが、オカヤドカリが群がっているのはこの周辺だけです。
砂浜に見える黒い点々がオカヤドカリです。オカヤドカリを踏まないように観察を続けます。
オカヤドカリは普段、草むらや森の中で暮らしていますが、梅雨開けが近づいてくると、一斉に海岸にやってきて海辺で産卵をします。
実際には産卵はすでに殻の中ですませていて、海へ放卵だけしにくるそうです。
しかし、ここにいるオカヤドカリがすべてメスというわけではありません。
オスのオカヤドカリもメスが無事に抱卵できるようにエスコートをしにきています。オスのオカヤドカリは紳士ですねぇ。
メスのオカヤドカリは海水に浸かり、タイミングを見計らって身体をピストン運動させ、お腹に抱えていた卵を海に放します。
オカヤドカリの周りに小さい赤いツブツブが浮いているのがわかりますか?これがオカヤドカリの卵です。
オカヤドカリが卵を放つと周囲には、パチャパチャと音を立てて小さな魚が集まり始めました。オカヤドカリの卵を食べに来た魚たちです。
やっとの思いで海に放たれた卵も一部は魚たちのエサになってしまうのですね。これが自然の摂理です。仕方ありません。
ツアーに参加された方たちも、オカヤドカリが卵を放つ瞬間を見逃さないように、夢中になって観察をされていました。
元田さんの案内でさらに海岸の奥の方へ進みます。しばらく進むと「懐中電灯を消してください」と指示がありました。
指示に従い懐中電灯を消すと、辺りは真っ暗!波の音とオカヤドカリが歩くカチカチカチカチという音しか聞こえてきません。
そして、しばらく静かにしながら暗闇の中で待ちます。
「はい。電気をつけていいですよー!」
という声を受けてみんなで懐中電灯をつけると・・・。
オカヤドカリがいっぱい!!!
カチカチカチカチ。
カサカサカサカサ。
オカヤドカリが人の気配と懐中電灯の明かりに気づき、蜘蛛の子を散らすようにいなくなっていきます。
何匹いるんだろう?
多いときには10万匹ものオカヤドカリが産卵にやってくるそうです。
1000万年前の岩石!メランジ堆積物も見学
帰りには約1000万年前に大陸と繋がっていたというメランジ堆積物を見学。
岩石の中にはサンゴのようなものも見えて、遥か昔にはこの岩石が海の中にあったことが分かると説明を受けました。
再び金見公民館に戻ってきました。所要時間は約2時間30分。
実は徳之島島内のいたるところでオカヤドカリの産卵がされているのですが、海岸で観察ができるという好条件の場所は金見だけです。
梅雨が空ける頃から夏までの限られた期間しか見られない珍しい光景です。
ガイドさんと一緒に回ったのは初体験でしたが、今までとは違う発見がたくさんありました!
今までに観察されたことのある人も、ない人も、この時期に徳之島を訪れる機会がありましたら、観察ツアーに参加されてはいかがでしょうか。