徳之島のアクティビティといえば海!とイメージされる方も多いと思いますが、森や山にも魅力がいっぱいです。
特に世界自然遺産の候補になっている地域では、国の天然記念物「アマミノクロウサギ」などの希少な動植物がたくさん暮らしています。
昼間に休んでいた動物たちも夜になると活発に動き出し、森の中も賑やかになります。
今回は世界自然遺産候補地の山でアマミノクロウサギを観察するナイトツアーに参加してきました!
ナイトツアーの待ち合わせ場所へ
今回案内してくださったのは、認定エコツアーガイドの元田浩三さんです。
待ち合わせ時間は夜の8時ですが、5分ほど前に待ち合わせ場所の山(さん)漁港に到着すると、すでに元田さんが軽自動車の中で待っていました。
元田さんは金見集落の出身。アマミノクロウサギやオカヤドカリの産卵、金見の集落歩きなどのガイドツアーも務める自然のスペシャリストです。
今回は「山クビリ」線と呼ばれる、徳之島北部の国立公園になっている地域を案内してくれました。この場所も世界自然遺産の候補地になっています。
まずは、元田さんの車に乗り込みナイトツアーについての説明を聞きます。
今回聞いた説明は下記の通りです。
- ナイトツアーは基本的に車の中から動物を観察するツアーです。指示があるまでは車の外に出てはいけません。
- 夏場は暑いですが、車のクーラーは付けません。窓を全開して森に住む動物たちの鳴き声にも耳を傾けてください。
- 指示があったときだけ車から降りられます。車のドアを閉める音で動物が驚いて逃げ出すこともあるので、車のドアは開けたままにしておいてください。
今回の説明にはありませんでしたが、エコツアーガイドの指示に従うことは最低限のルールです。指示に従わないとツアーを中止することもあります。
いざナイトツアーに出発!
元田さんの運転でナイトツアーに出発します。
しばし、住宅地を車で走ってから山クビリ線へ向かいますが、すでに住宅地の中も静かなので、車の窓を開けていると虫やカエルの鳴き声などが聞こえてきます。
3分ほど走ると、大きなフェンスが見えてきました。ここから先は認定ガイドの同行がないと入れない地域です。
2019年7月1日から自然保護を目的とするため、徳之島町の条例でルールが決められました。
自然観察を目的とする人は認定エコツアーガイドと同行、動植物の研究や教育活動で通行をしたい人は、徳之島町役場の農林水産課に申請が必要です。
今回は、元田さんが認定エコツアーガイドなので鍵を持っています。
扉をギギギーーっと開く様子を見ていると、特別な場所の扉が開く感覚で、胸がドキドキします。
再び車に乗り込み、改めてナイトツアーに出発です!
実はこの日は小雨が降り、森の中には霧が立ち込めていました。雨が降っているときはアマミノクロウサギに出会える確率がグっと低くなると言われています。
もちろん天気が良くても会えない日もあるので、その覚悟を持って参加する必要があります。
自然遺産候補の「山クビリ線」の中へ
山クビリ線に入ってから、5分ほど車を進めると・・・。早速、何かを発見!
ん?何かいる!!
遠くからでもアマミノクロウサギではなさそうなのは分かるのですが、なんでしょう?
鳥かな??
出会ったのはアマミヤマシギ。
沖縄県では天然記念物、環境省の希少野生動植物種に指定されている貴重な鳥です。
おもに奄美群島や沖縄に生息していて、大きさは鳩とアヒルの中間位。色は茶色で、くちばしが細くて長いのが特徴です。
とても動きがのんびりしていて、車が近寄ってもなかなか逃げません。のんびりのんびり歩いて車をよけます。
さらに車で山の奥へ入って行きますが、悪天候のせいで、だんだんと霧が深くなってきて視界が悪くなってきます。
しばらく車を進めていくと・・・
あっ!いたいた!!道を横切るアマミノクロウサギの姿が!!でも、一瞬で写真が撮れない!!
アマミノクロウサギってこんなに速く走るの?思った以上に動きが素早くて、カメラで追えない!のんびりしているイメージがあったのでビックリです。
元田さんのお話によると、大人のアマミノクロウサギは警戒心が強いので非常に動きが早く、子どもや赤ちゃんは警戒心が薄いので人が近づいてきても怖がったりしないそうです。
先ほど車の前を横切ったのは、大きさやスピードから大人のアマミノクロウサギだと思われます。
ナイトツアーも終盤へ
その後も40分~50分車を走らせてくれましたが、アマミノクロウサギだけではなく、他の動物たちにも出会えません。
かなり、山を下ってきて、もうそろそろナイトツアーも終盤かなぁ、と思ったその時!
目の前に何かいる!
ん?何??アマミヤマシギかな??でも、全く動かない。大き目な石かな?なんだろう??
と、ズームしてみると・・・
なんと!!
アマミノクロウサギでした!
アマミノクロウサギに会えたー!!
本当は車から降りて近くに行きたいけど、近づいたら逃げてしまうという元田さんの判断で、車中からの観察をします。
その代わりに必死でシャッターを切りました!
あっ。動いた。
あっ。また顔が見えた!
そして行ってしまいました。出会えた時間はわずか30秒。それでも、アマミノクロウサギのお顔がしっかりと見えて良かったです。
モフモフでかわいかったなぁ~。
その後会えた動物たちは?
その後はアマミノクロウサギには出会えませんでしたが、木の上に止まっているアマミヤマシギがいたので、少しだけ車を降りて観察をしました。
相変わらず、木の上でも動きが少なくて、のんびりしている様子です。私たちが近づいてもノーリアクションでした。
しばらく行くと、大きなハブにも遭遇!長さは2メートル以上もありました。
このように、猛毒を持ち噛まれたら命に係わるハブもいるので、勝手に車から降りたりしないこと。エコツアーガイドの指示にはしっかりと従いましょう。
世界自然遺産の候補地になっている山クビリ線は希少な動植物の宝庫。
今回は悪天候だったので出会えませんでしたが、オビトカゲモドキやアマミハナサキカエル、アカショウビンなどの希少な動物もいるので、運が良ければ出会えるかもしれません。
一人では行けない特別な場所に、徳之島を良く知る認定エコツアーガイドと一緒に行ってみませんか?
ここでしかできない特別な体験がまっています!
ナイトツアーの詳細
ナイトツアーはクロウサギの観察以外にも、ウミガメの産卵(5月中旬~8月)、ウミガメの孵化(7月末~10月初旬)、オカヤドカリの産卵(6月末~7月末)観察があります。
定員はクロウサギの観察の場合、1ガイド3名(軽乗用車の定員)まで。所要時間は2~3時間です。
持ち物と注意点
特別な持ち物は不要ですが、写真を撮りたい人はカメラの準備を忘れずに。
山に入ったらトイレはありませんので、出発前に済ませておきましょう。ちなみに今回待ち合わせをした山漁港には公衆トイレがありますのでご安心を。